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2007年12月15日

鵜飼 昭年

今回のレクチャーのタイトルは『マチ・ヒト・スマイ』でしたが、鵜飼さんにとってヒトとはどうゆうものですか?


また難しいことをいきますね(笑)
まず設計者としては、クライアントを前にしていますので、その人のことです。その人を通して社会があるし、その人のバックボーンの中に歴史もあるし、未来もあるし、社会性がその中に入っている。そこの個別性からしか何も得られないだろうなと言う風に思っています。
こんな人がいるだろうとか、こんな社会があるだろうとかでは、何もわからないんです。なるべくクライアントに出会う時に、自分は真っ白にして出会いたいと思っています。もし今回こうゆうのを作ってやろうと思って、クライアントに会ってしまうとダメになる。だから、素材も決めないし形も決めないし、敷地見る前に人に会うので、その人がその敷地をどう見ているかっていうのは、大変重要な事項ですね。それがどこまで結果に繋がるかというのは、いろんな理由によって前後したりしますけれど、まず人というのは、入り口、窓口というか、社会を見ていく小さな穴みたいな、社会と壁みたいなものがあるとしたら、小さな穴で、穴から入った像がヒトのなかでひっくり返って映し出されているっていうイメージですね。ですから、家の中とマチというのは、ほとんど同じ意味と思っていて、内部も外部もそれは結局同じで、雑誌のほうにはムロって書いてあるのは、最終的な逃げ場所としてのシェルター:ムロっていうのがその奥にたぶんあると。住居の中には、マチと等価の部分とムロのような隠れる部分の二段階的な雰囲気があるのだろうなって思っています。

ヒトがあってマチがあるということですね?

もちろんそうですね。これは、東さんからたぶん教わっているんですね。固定概念を持って会うなと。なるべくクリアにして行けという、打ち合わせが全て。協働作業論っていうのがあるんですが、そういったところはやっぱり意味があるなと思って。

施主さんに会う前にするスタディというのはありますか?

初対面の時は何もしないですね。その人から出てくるまで、仕事を受けません。この人面白いって思うまでは、なるべく普通に接していて、だんだん面白くなってくると、ご飯食べに行こうかなとか、一緒に映画みたいなとか、そうゆう風になってきたら、いけるなってなります。

では依頼を断るってこともあるんですか?

断らないですね。ちゃんと消えていきます(笑)追い詰めるとこがあるかもしれないですね。

断ることはないけれど、向こうから来なくなるってことですか?

面倒くさくなるでしょうし、すごく質問攻めにするので、どうしてそんなに考えなきゃいけないのかなっていう…。でも、100%そうゆうわけではないですけどね。いろんな事はあります。でも自分から嫌ですって断ったことは実は1回もないと思いますね。それは、いいところを見つけてほしいっていう風に、先生に教わったことであって、欠点を見つけるのは簡単ですけど、いいこと見つけるのは大変な作業ではないですか。そうゆうことは、クライアントと一緒に喋るときも、それを見つけようとしますね。自分は見落としているかもしれないし、最初に切るのは非常に危険だっていう風に。本当に嫌になるときもありますけど、頑張って聞いていくと、この人こうゆう事だったのかっていうのが、何回かしていくとわかるときがありますね。

鵜飼さんは家を作る時に気をつけていることはありますか?

気をつけていること…いっぱい気をつけますね。要望ってことと、その人が持っている人生みたいなものとハッキリ区別しています。要望からはとってもじゃないけれど、お家は作れませんって言っています。それを集めて作れるなら、たぶん誰でも作れてしまうからっていうことで、なるべくそうじゃない部分から作りたいなっていう風にプランニングはしていて、それとともに、やっぱりマチのこと、例えば道との関係とか、街区だとか、街区に対しての穴ボコとか、方位からくるマチとしてやらなければいけないこととかを巻き込んでやらせてしまうというか。その人の要望だけで南のオテントさんがいっぱい入る家、庭がたくさんあって、と言うだけではダメなことを言いますね。そこで破談することもあるし、わかってくれる人もいますね。それはいろんな時期によって、ブログを書き始めてからの出会いとか、雑誌だけのときの出会いとか、その出会いかたによって少しずつ温度が違って面白いですね。最近は、わりと向こうがわかってくれていることも増えてきていて、どうするんですかみたいな感じになるので、そうなるとちょっと自家中毒的になってくるんで、どうやってまた違うスタンスって、もう一歩踏み出そうかなって考えなければと思いますね。

住宅の名前でNNI HAUSとかNKY HAUSとかの名前の付け方はどうやってつけているんですか?

実は東事務所からの習慣なんですよ。3文字で必ず付けていて、コルビュジエもそうだったかな。ただ、東事務所の場合は全国でやっていたので、1文字目は地方の名前でした。名古屋でしたらNから始まっています。ただ、うちがやったら全部Nになっちゃうので、名前で基本的やっていて、山田さんだったらYAMとか、ただ、だんだん増えていくのでYMDとか、母音を外すとかにしていて、これはかなり恣意的になってきていますね。だから、HAUSにしているのはHOUSEというスペルじゃなくてAUにしているのは、自分の事務所名の由来と関係していますけど、AUというところに、空間というラテン語系にしかない、英語にはない空間性みたいなのがすごく好きでHAUS、これはドイツ語だとか、ラテン系はraumでもaudienceでもauというのが、意味があるなと。器みたいな、本当に殻がなくてもふっくらとした空間みたいなものがあるなと思うので、hausは、空間、ほしいからHAUSという風に付けていて、一応自分も狙っているというみたいになるというのがあります。

東事務所で3文字っていうのはどうゆう理由からだったのですか?

僕はわからないですね。ハウスは付けてなかったのですよ。ファイルの整理方法だったと思いますけど。

先生の立場で名古屋の建築教育についてどう思われますか?

僕らの頃とまず比べると断然良くなっている。先生として良くなっているように見えます。ただ、僕らの時は先生がそんなにいなかったので、自分たちで動くしかなかった。情報が足らないから必死で想像もして、満足もせずやっていました。今は良くなったけれど、本当にいいかどうかわからないなとはいつも思いますけど、こんなぐらいでいいやって思ってないでね、とは思う。僕等のころはすごいハングリーだった。だけど、やっぱ情報量も少ないし、身近な建築家にも会えなかったから、そうゆう意味ではみんな全然勉強していると思うけど、みんな同じになってきてない?というのもあるじゃないですか。実はできる事は意外と知れていて。その人数が増えているだけであれば、もしかしたら変わっていないかもとか、思ったりする。

大阪で院に行かれていますよね?東京のほうはいろいろ話が入ってきますけど、大阪の話はあまり聞かないのでお聞かせ下さい。

行ってすぐ思ったのは、僕ら名古屋にいてこんなに近いのに、大阪の建築家はあまり知りませんでした。だから、改めて新建築を見てみると、ちゃんと同じように載っているんですね。それで、見過ごして見ていたんだなって思いましたね。もちろん遠藤さんとか、竹原とかっていうことなんだけど、他にももう少しいるんですね。ちゃんと載っている人たちが。そうゆう人たちが目の前にいて、教育自体はやっぱり建築家がいるっていうのがリアリティありましたね。例えば京都精華大があって、そこにオープンジュリーがあって、僕ら阪大だったけど聴きにいけましたね。山本理顕さんの『リアリティ!リアリティ!』っていうのを目の前で聴いて、そうかと思いながら、学生が泣きながらプレゼンしているのを見ていました。泣きながら、というのは早稲田が有名だけど、他ではまだよく知らなかったけれど、やっぱあるのですよね。くっちゃくちゃに言われて、最後の最後ですよ(笑)2月か3月のジュリーで、卒業なのにめちゃめちゃ言われていて(笑)でも、こうゆう厳しい状況で関西はやっているのだなというのはありましたね。ちゃんと建築家が見てくれているっていうのは大きかった。ゲストが入ってやるという今の名古屋でよく見られる風景が、あの時期10年ちょっと前にもうすでにありました。
最近僕らが帰ってきて、それを真似事のようにやっているのかもしれないですけれど、ずっと早かったですね。オープンハウスはいっぱいあって、どんどん見に行けましたね。それが名古屋の今の感じよりも激しい。だいぶ今の名古屋の状況は、あの頃僕が学生で見ているときと似てきていると思いますね。だいぶ遅れていますけどね。

僕が4年間過ごしてきた中でも、やっぱり少し良くなったなっていう変化がありますね。

そうですね。
帰ってきた人間、名古屋生え抜き、その人たちの動きっていうのはやっぱ重要になってきているし、来てくれている人も定着してくれていますよね。結構すぐ帰ってしまうというのではないし、あるいはもっと僕らの頃は拒絶していたと思います。入ってきてくれなかった。
この子たちと頑張ってみようと思ってくれている。その2つのことが起きていますよね。まだまだやらなければいけないことはあると思いますけれど。その為には先生たちが結果を残さなければいけないと思いますけどね(笑)実施設計とかでね(笑)教えるのに終わってしまうのは危ないので。
関西はやっぱ特認教授が多いです。ちゃんと仕事をしながら教えている。学会賞を取りに行く、少なくとも関西建築家賞みたいなのは確実に穫っていたりとかして、バリバリやっている。そうゆうのはやっぱりキープできないと、緩めると一瞬で緩むと思うので、みんな頑張らないといけないと思っています。

ありがとうございました。

(インタビュアー:篠元貴之 松本公佑)





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