2003年 01月 24日
Pomu kikaku
ぽむ企画/平塚桂・たかぎみ江による女子2人組ユニット。
2000年からはじめたウェブサイトを通じた建築批評活動により、主に建築関係者の間で有名になる。
近年は、建築に関する記事を『Casa BRUTUS』『AXIS』『美術手帖』『L-magazine』『VOGUE NIPPON』『GA JAPAN』など、一般誌から建築専門誌まで幅広く執筆。また、2002年春には建築と映像のイベント『ケンチクナイト』を主催し、300人を動員。
※ぽむ企画HP→ http://pomu.tv/
Flat: webと出版でスタンスの違いというのはありますか?
み江: いい質問ですね。五十嵐さんは完璧に分けていますよね。例えば自分のweb日記では評価をしていないでしょ。 書くときのスタンスは全然違う。っていうのは自分の責任で自分のwebに書くのは、お金を貰ってメディアに書くのは基本的に全然違う。気持ちの上で違う。それはびくびくするかしないか。
桂: webでもそれなりにびくびくするんだけど、する方向が違うかも。
み江: 叱られても自分のところで謝ったりすればいいだけじゃないですか。Webなんかは。ちょっとまずいことを書いてもあとで取り下げたりすればいいだけじゃないですか。スイマセンスイマセンって言って。紙はそうはいかんからなぁ。
桂: 紙だとぽむ企画が前面にでないことが多い。企画にもよるんだけど。
み江: テーマを与えられて書くって言うのと、自分で今思っていることを適当に書くっていうのはやっぱり違うじゃないですか。卒業設計するのと実際にこう設計するのでは違うじゃないですか。
桂:まったくそんな感じだよね。普段は設計演習してて、時々実施設計するっていう。
Flat:webにしても出版にしても、文を書くことが主な活動だと思うんですけど。自分で設計デザインをしたいと思うことはありませんか。
桂・み江: わたしはない。下手だから。
桂: こういう家をプロデュースしたいとか、こういう家にみんな住んだらいいじゃないかとかしょっちゅう思うけど。でもそれはなんか自分の手でこう図面を引きたいっていうのとはちょっと違う。で、設計はねぇ、駄目なんだよねぇわれわれは。
み江: 桂さんはまだそれなりにできる。わたしはヘタ。まじヘタ。
桂: 根性が足りないっていうか。設計ってなんかみんなすごい粘り強いじゃないですか。あきらめないじゃないですか。それが全部もういいやって、すぐあきらめるタイプで。一個のプロジェクトに一年とかかかるとか聞くと、もう耐えらんないっていうか。文章だったら長くても半月。いいねぇ。
み江: そういう向き不向きってあるんじゃないたぶん。建築やるかどうかっていう。
桂: そうそう、ラインが上手いかどうかだけじゃないところがすごいあるじゃないですか。
み江:すごいよね、みんな。
桂: 設計演習上手くてもそのへんで挫折する人とか結構、密かにいるような気がするよ。
み江:体力がない。すごく。今日のツアーも昨日ようやくコースを全部確認して、これは無理とちがうかなわたしらは絶対途中で交代で駅伝状態でいってきてーって。
桂: 全部歩くのかと思ってた。
Flat: (笑)
桂:何キロよ、これ。
ギャラリー:さっき言ってたように建築って時間かかるし、2年3年当たり前だし。友達の建築学科の同級生はものをつくるのは好きなんだけど(コップをさして)こういうのとか。
み江:うんうん。あと大きさとかもあるよね。
桂: なんかwebデザインとか好きだねぇ。エディトリアルデザインとか。去年webデザインの仕事をしばらくやっとって。こりゃいいわって。いまでもそれに近い仕事とかしてて、すごいなんか好きなんですよ。あん位がいいなって。やること(建築と)一緒じゃないですか。Webデザインって割と。こうクライアントの要望とか聞いて。で、こう使いやすい感じにつくったり、かっこよくしてみたり。なんか設計に計画がある。エディトリアルもそうかな割りと。見やすいものつくるとか。なんか建築で勉強したことって以外にいろんなとこで生きてきてて、最近特に感じる。企画書つくるとかも結構そうで。企画書とか書く機会があったりするんだけど我ながら上手い。
Flat: (笑)
み江:めちゃくちゃわかりやすい。
桂: 設計やっといてよかったってこう思ったりして。以外にいろいろな方向にいけるような気はするんですよ。
み江:けっこう役に立ったな。
桂: 建築をやめさせるような発言ばっかです。別にいいんだけどね。ずっと続けていくという道は絶対あるんだけど。はずれるという道もあるよ。
み江:広告代理店とか結構建築の学生とってたりするでしょう。あれは多分つかうあたまが一緒だと思う。あとテレビとか。
桂:テレビもいいらしいね。こないだNHKのひとで建築出てる人にあったんだけど、建築で勉強したことがこんなに役に立つなんてってすごいうれしそうに話してた。
み江:就職活動もね建築とテレビは似てるってそれでいきましたよ。
桂:なかなか便利な学問。
み江:広告のひともたぶんそれでいったんだよね。
桂: 意外に就職に役立つかも。
(ギャラリー) :建築学科選んだ動機とかってあります?
み江:うんそれはもうたぶん大方といっしょで、なんか面白そう。たいがいはほらみんなものつくるのがちょっと好きだったりするとそうじゃないですか
桂: わたしはなんか小学校高学年位からもう建築って決めてました。今でも建築じゃん、一応。離れてない好きだから今でも。好き、ちょっと違うかも。歪んだ愛を注いでる。
み江:というわけで結構だから他の仕事にも使えるんではないかなと。
桂: 他の仕事でなんか設計に近い頭は使えるからまあいいやとか。
み江:企画書はたぶんちゃんと書ける。かっこいいのが。わかりやすくてヴィジュアルも美しい。
桂: だから優秀なビジネスマンにもなれちゃう。
み江:なれるなれる。
Flat: 「けんちくナイト」というイベントをされてますが、イベントされる上で苦労とかありますか?
桂: 半端じゃない苦労があります。
み江: それはもう、2時まで話すよもう(現在21時半)
Flat: (笑)
桂: やった場所が、何にも設備とかないところで、無料で貸してもらえるんだけどほんとに何の設備もないところで、電気の穴も一箇所しかなくて全部延長コードとかそういう世界で。しかも舞台とか全部自分で設営するように汚い畳とか台とかはあるんだけど全部組まなきゃなんないし、スクリーンとかも全部用意しなきゃなんないし、その辺でまあなんかいろいろスキルがいるじゃないですか。そういうことわかってなきゃいけないとか。でもそういうことは全然知らないから、どうしたらいいかと思って。いろんな人に声かけて知り合いのツテだかなんだかしんないけど、演劇やってる人なんかを無理やり手伝わせたり。
み江: 一番ねたぶん問題なのは、私らが友達がいないってこと。あのーそういうのってあるていど組織がいるでしょ。ある程度おっきい空間でやるようになったら。そんでそんなかで役割を分担して、何係何係って、で組織を作ってそのなかでヘッドを決めて、でヘッド会議とかってそんな風にやってくじゃないですか。そういうことをやんなかったのね。この前まで。っていうかそもそも手伝ってくれるって言う人は集まったけど。ちょっと人をさばけなかったっていうところもあって、かなり自分らでやらなければいけない部分も増えたりとかしてそれは大変でした。
桂: 機材とかその設営もなんか自分でやんなきゃなんなくなってしまって。
み江: そんなん詳しい人に任しておきたいけど
桂: どうしてもそういうお人好しがみつからず。
み江: 友達いないから。
桂: 意外に出演者はなんかサクサクっと見つかったんですよ。チケットとかも案外さばけたんですが。
み江: チケットもだって結局自分らで刷りにいって自分で切ったよ。
桂: 演劇のベースみたいなのが京都にあるから。蓄積があるから自分らでやろうとおもえばできちゃう。パンフレットをとじたりするもの家内制手工業。とにかく安く上げようと思ったから。
み江: そうそう。とにかく赤字は出さんとこうと思ったわけ。それだけはぜったいにやろうと思って。赤字はやっぱだめだろう。もう、すごい切り詰め切り詰め奴隷を使いまくり。ボランティアという名の奴隷。友達はいないけど奴隷はいるんですよ。だからそんな経費はかかってないんだよね。一応音響だけはプロの人に入ってもらったけど。あとはもうビジュアル関係のは全部機材持ち寄りとか借りたりとか。あとは精華大から裏ルートを使ってでかいスピーカーを貸し出してくれるんですよ。ほんとは学生しか借りらんないんだけど。
桂: とにかく周りからやたらと不安がられてたんですよ。直前まで。
み江: こんな調子だから。
Flat: 結構盛況だったんですか?
み江: うんそれなりに。有料入場者数が150かそんくらい。
桂: そんな広いとこじゃないからギュウギュウで。
み江: ちょっともうしわけなかった。
桂: ゼロスタとかみんな見たいから。すごい集まってて。見れなかったという不満とかを聞きつつ。なんか愚痴みたいになってきたね。
み江: 一応ほら苦労っていう振られかただから。
桂: もっと前向きな指針を与えるようなことを。
み江: イベントで結構当たり前だけど大事だと思ったのは。人数と規模だよね。たとえば20人なら20人でちょうどいい規模のイベントってあるでしょ。そこのバランスが取れてないとつらいよね。150はちょっと多かったよねたぶん。
桂: とにかく赤を出さないようにいっぱい入れなくては。
み江: そっちを考えちゃったから。
ギャラリー:それは何人くらいって予想したんですか?
み江: 会場から割り出される部分もあるし、大きくなったらなったでそんぐらい。たとえば、こういう講演会があるって告知されるじゃないですか。槇先生が来るってとか言って。楽しみにしていくじゃないですか。そうすると、会場いっぱいに入れなくて聞けないし、で会場に入れなかったらそりゃ腹立つでしょ。だからそもそも入れないなら告知するなとか。そういう感じ。そのへんイベンターじゃないから読むのは大変かもしれないけど。
桂: そうそう人のイベントにいったとき込んでるとすごく怒るタイプだから。込んでてはいられへんやんとか寒いやんとかいちいち怒るくせに。自分たちで込んでて入れないうえに寒いイベントをやってしまった。
み江: 込んでるとなぁ腹立つもんなぁ。だから、そこはたとえばもうちょっと入場料を高くして、もうちょっと人数を少なくすべきだったと思うんだけど。わかんないからね。当日ふたを開けてみるまでは。いっぺんやってたりすると違うかもしれないけど。なんか内容とかより、そういう形式のところですごく思ったかな。実際にやってみると。もちろん内容もあるかもしれないけど。
ギャラリー:赤をさっき出さないって言ってましたね。
み江: それすごい大事。じゃないと後が続かないでしょ。なんか前にね、けんちくナイトじゃないけど映像のみたいなのを東京の方で日大の学生さんとかがやったって話を聞いて。
桂: クラブっぽいところで妹島さんをよぶみたいな感じで。
み江: がんばってやったんだけど、なんかものすっごい赤字出て、ちょっと信じられんくらい。っていうようなこともあってたぶんこのあと続いてないのかなっていう。
ギャラリー: 今イベントを企画しているんですか?
み江: いや特に決まっていない。寒い時期には・・・。
Flat: 若い世代の建築出身の人たちを接する機会が多いと思いますが、感じる傾向がありますか?
み江: 接するけど作品見せてもらったりしたことないんじゃないかな。
桂: みんなDJとかVJとかをやってすごいなとか。どうだろう建築についての傾向はあるのかな。
み江: 映像強いのはさすがだなって思うけど。たとえば流行以外のものでなにかあるのかな。やっぱりその時代のスターっているじゃないですか。私ら学生の時は安藤さんだったし。そうやってみんな学生ワーッとそれマネするじゃない。今だったらみんな妹島さんマネするじゃない。そういう傾向っていうのはあんのかもしんないけど。それ以外ってあまりちゃんと見てないかもしれないですね建築は。
Flat: 建築以外では?
み江: とりあえずみんな考え方が堅実でしっかりしていてすごいなと思う。景気悪いからかな。とりあえずなんか自分で作ってみちゃうってとこかな。店の内装やったり。学祭の店やったりとか。そういった辺はカジュアル化したのかな。
桂: 逆にちょっと上の世代はどう見えるっていうのを聞きたいな。
み江: うんうんそれ気になる気になる。
桂: こうはなっちゃいけねーとか。
み江: そうそういうのあるでしょ。
桂: あいつらあそこがだめだからさとか。
み江: 多分もう5年もするとすごい反発するんでしょう。たぶん。
桂: あるいはうらやましいと思ったり。あとは、みんなwebとかできるようになったな。
み江: 表現することに慣れている感じの人が多くない。たとえば、自分の作ったものを発表しようと思ったらサクッと自分でwebデザインして作って発表できるじゃないですか。皿回しちゃっているのもひとつの方法だし。そういうの表現事態に慣れている感じの人が多いかなっていう。
(インタビュアー:渡辺 周平)